口語訳:ISO14001
〜04年改訂の意図〜

 一言で言ってしまうと『ISOに書いてある事で、言葉遊びをしないで下さい。』というのが、04改訂の柱です。

 ISO14001の改訂第二版(04年版)は、14001が未だに(日本以外では)世間に浸透しているとは言えない状態なので、世の中で混乱が起きないように、書いてある事を基本的には変えずに(要求事項の変更をしない)、ISO9001と意味のない違いをなくすること(両立性の向上)と、書いてある事の意味をハッキリさせる事(明確化)、の2つだけを目的に小改訂だけする事とISO総会で決められて発行作業が進められてきました。

 ISO9001との両立性を主に考えて変更された、4.4.2項、4.4.4項、4.4.5項、4.5.3項、4.5.4項、4.6項の他は、『書いてある事の意味をハッキリさせる事』という目的で変更されたわけです。初期の改定案では、「ISO14001は、書いてある事が分かりにくい。」という批判に応える事を主な目的としていた様ですが、後期は、「世間では、元々のISO14001の意図とかけ離れた解釈が横行している。」事の対策として、”ISO14001の意図していない解釈を許さないような表現への変更”が主な作業となりました。

 その極端な例が、「...する手順を作り上げ、必要があったら改める(確立し、維持する)」という表現が、統一的に「...する手順を作り上げ、その通りに行い、必要があったら改める(確立し、実施し、維持する)」という表現に置き換えられた事です。
 手順が作り上げられているのに、その通り実施しないなんて普通には考えられません。 ところが、認証を受ける側が「手順書に書かれているから、実施はまだだが既に確立されている。」(筆者注:実施されてないなら、そんな手順は確立されているなんて言えないと思います)という主張をしたり、審査員が「ISO14001には、『実施せよ』とまでは書かれていない。」と言ったり、審査員教育機関がそんな教え方をしたりされました。そんな、ムリヤリな拡大解釈は認めませんよという事なのです。

 元々ISO9001や14001などのマネジメントシステム規格は、製品の規格と違ってマネジメント(経営/管理)するにあたっての最低限やらなければならない仕組みの大枠を決めたもので、「細かい事は、会社規模や国の慣習によって変わるだろうから、『普通に』考えられる通りにやってくれ」という決まり方になっていて、製品(部品)のサイズを○○mm±0.?mmなんて決めてあるものとは性質が違うのです。『当たり前』な事は「決めてなくてもわかるだろうから」書いてないのです。
 そこを悪用して、「そこまで書いてないから」と、普通とは違う解釈をする例が増えてきたのです。それでは「ISO14001の認証を受けている」と言っても、世間で誰も信頼しなくなってしまい、認証の制度が崩壊してしまいますから、そんな事は許さない態度を打ち出したというわけです。

 極端な例以外の例では、「会社の活動、製品又はサービスに関わる環境側面を...し」という表現が「会社の活動、製品及びサービスに関わる環境側面を...し」という様に改められました。元々、「活動に関わるものも製品に関わるものも、どれかに関係あるなら全部...して下さい」という意味だったのですが、「『又は』と書いてあるから、挙げてあるうち好きなものを選んで構わない」という解釈がありました(ある審査員教育機関が、そう教えた様です)。「好きなものを選んで、その他はやらなくて構わない」なんて書いてある規格なんて考えられませんね。常識外れです。

 その他の例として、4.3.1項「会社が管理できる環境側面 and 会社が(購買先などに)影響力を行使できる環境側面を...し」という部分の and が日本規格協会の訳で『かつ』と訳されていた事もあって、「どちらかから外れる環境側面は環境マネジメントシステムで取り扱わなくても良い。」という解釈がありましたし「主任審査員の解説する.....」なんていう本にもそう書いてありました。前の段落と同じ様に「...しなくても良い」なんて規格に決められているわけはないので、and は『及び』と訳されなければならないのです。(原文では...and those...と、誤解がないように直されました)

 要するに、「どこまではやれと書いてある」とか「どこまではやれと書いてない」とかいう、言葉遊びはしないで下さい、「書いてあるように見えても、全てのケースでやらなければならないとは限らない」、「書いてなければ、やらなくてよいというわけではないので常識的に判断してほしい」という事なのです。今回改訂で思いつく限りは当たり前の事まで書かれたのですが、そんなもの書ききれるわけがありません。

 そもそもが原文で『Standard』とされている語を”規格”と訳しているところから生じている問題なのかもしれません。一般的に”規格”(多くは製品規格)というと、「規格内であるなら許容しますよ」という意味を含みますし、境界線が明確でなければ意味を成しません。『standard』の一般訳語である”標準”の場合は合致するかどうかの境界線は明確でない方が当たり前です。



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